公開日誌

後悔はしませんし、させません・・

初夏のこえ

私の家の周辺は、東京のど真ん中なのに、緑が多い。というか、駅から遠いところに家がある。正直不便だ。

 

最近、うちの周りには、鳥の鳴き声がよく聞こえる。これも自然豊かなこの地域の特徴なのだろうかと思っていたが、どうもそうでもないらしい。

 

近年、世界中で郊外にいるはずの生き物が、都市に適応して住み着くことがよくあるらしい。イギリスの蝶が有名だ。もともと森で生きるため灰色だったのが、大気汚染の影響で白色が主流となったのであった。とても興味深い話である。

 

この話を聞いて思いついたのは、近隣の家に住み着くコウモリだった。蝶ほどではないが、彼らは、家の雨戸を巣として見事適応していたのであった。もう10年ほども前の話ではあるが、当時小学生の私は人の作った家をも自然の一部として活用する生き物たちに驚かされた。

 

こんなことを思いながら、朝のトイレでは外から鳥の声を聴いていた。一匹ではなく三,四匹の声が聞こえる。つまり、鳥の巣があるようだった。ただ、驚かれるのはよくないと思い実際に確認したことはない。

 

そんな中、先ほどまで聞こえていた声が、聞こえなくなったのだ。いつも鬱陶しいほどに聞こえる雑音が、どうも恋しく感じる。

 

なくなって初めて気が付くとはこのことである。

 

よくよく考えてみると、彼らは巣立ったという解釈が妥当である。これは程うれしいことはない。自分の家から世界に羽ばたいていったのだから。

 

気づけば、先月まで飼っていた鳥を思い出してしまう。彼はとてもかわいいのだ。僕らは十年近く一緒に過ごしてきた。まだこの傷はいえていないらしい。